生命を見つめるフォト&エッセー

受賞作品

第3回エッセー部門

第3回入賞作品 − 小学生の部 
最優秀賞

「豆つぶだったぼくの成長」

渡邉 洵(8)神奈川県

 ママ。一番大切な気持ちだから、一番はじめにつたえておくよ。

 「ぼくを産んでくれてありがとう。」

 ぼくには、パパにもへんしんできる、かっこよくてかわいいママがいる。わんぱくでケガばかりするぼくを、さいしょから一人でそだててくれた。ママもぼくに負けないくらい元気いっぱいで、毎日家族のためにがんばってくれている。

 ぼくは自分が生まれた時のことを、全くおぼえていない。生まれてから泣きはじめたことも、ママから聞いて知ったくらいだ。ふだんめったに泣かないぼくのことだから、わらいながら生まれたと思っていたのに。

 ある日、1冊のノートをママが見せてくれた。1ページ目には、真っ黒な中に小さな白丸がひとつうつったしゃしんがあった。

 「洵はさいしょ、小さな小さな豆つぶだったんだよ。それが今ではこんなに大きなおだんごさんになって。」

 ママは、しゃしんを1枚ずつせつ明してくれた。だんだんと豆つぶが人形みたいになっていくのを見て、ぼくはふしぎな気持ちになっていった。そこでもはじめて知ったことがある。生まれた時がんばったのが、ぼくとママだけではないということを。

 いたくてつらいママに、ずっとやさしくしてくれたかんごしさん。泣いているママの手を、ぼくが生まれるまでにぎりしめてくれていた助さんしさん。ぼくをだっこして「男の子だね。」とほほえんでくれたお医者さん。ぼくの泣き声を聞いて、うれしくて泣いてよろこんだおじいちゃん、おばあちゃん。「ひまごなの。」とご近所さんにじまんばかりする、ひいおじいちゃんたち。みんながせい一杯がんばったから、ぼくが生まれたんだ。

 さっきまでママは、せんたくやそうじ、ペットたちの世話を休みなくしていたのに、何だか急に家の中がしずかになった。心配になって2かいへ行って見てみたら、ベッドのすみでスヤスヤとねているママがいた。ぼくが赤ちゃんの時から大切にしている、少しクタクタになったぬいぐるみをだっこしながら。ぼくはそっと、おなかにタオルケットをかけてあげた。こうやってぼくにもママは、かぜをひかないように、ふとんをかけてくれていたのだろう。もうぼくは7才。今までママにしてもらったことを、これから先はぼくがしていこうと決めた。

 ママ。一番つたえたい言葉だから、これからもずっと送りつづけるよ。

 「ぼくがママを守るからね。」

(敬称略・年齢、学年などは応募締め切り時点)
(注)入賞作品を無断で使用したり、転用したり、個人、家庭での読書以外の目的で複写することは法律で禁じられています。

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