最優秀賞
「豆つぶだったぼくの成長」
渡邉 洵(8)神奈川県
ママ。一番大切な気持ちだから、一番はじめにつたえておくよ。
「ぼくを産んでくれてありがとう。」
ぼくには、パパにもへんしんできる、かっこよくてかわいいママがいる。わんぱくでケガばかりするぼくを、さいしょから一人でそだててくれた。ママもぼくに負けないくらい元気いっぱいで、毎日家族のためにがんばってくれている。
ぼくは自分が生まれた時のことを、全くおぼえていない。生まれてから泣きはじめたことも、ママから聞いて知ったくらいだ。ふだんめったに泣かないぼくのことだから、わらいながら生まれたと思っていたのに。
ある日、1冊のノートをママが見せてくれた。1ページ目には、真っ黒な中に小さな白丸がひとつうつったしゃしんがあった。
「洵はさいしょ、小さな小さな豆つぶだったんだよ。それが今ではこんなに大きなおだんごさんになって。」
ママは、しゃしんを1枚ずつせつ明してくれた。だんだんと豆つぶが人形みたいになっていくのを見て、ぼくはふしぎな気持ちになっていった。そこでもはじめて知ったことがある。生まれた時がんばったのが、ぼくとママだけではないということを。
いたくてつらいママに、ずっとやさしくしてくれたかんごしさん。泣いているママの手を、ぼくが生まれるまでにぎりしめてくれていた助さんしさん。ぼくをだっこして「男の子だね。」とほほえんでくれたお医者さん。ぼくの泣き声を聞いて、うれしくて泣いてよろこんだおじいちゃん、おばあちゃん。「ひまごなの。」とご近所さんにじまんばかりする、ひいおじいちゃんたち。みんながせい一杯がんばったから、ぼくが生まれたんだ。
さっきまでママは、せんたくやそうじ、ペットたちの世話を休みなくしていたのに、何だか急に家の中がしずかになった。心配になって2かいへ行って見てみたら、ベッドのすみでスヤスヤとねているママがいた。ぼくが赤ちゃんの時から大切にしている、少しクタクタになったぬいぐるみをだっこしながら。ぼくはそっと、おなかにタオルケットをかけてあげた。こうやってぼくにもママは、かぜをひかないように、ふとんをかけてくれていたのだろう。もうぼくは7才。今までママにしてもらったことを、これから先はぼくがしていこうと決めた。
ママ。一番つたえたい言葉だから、これからもずっと送りつづけるよ。
「ぼくがママを守るからね。」