優秀賞
「わすれられないきょうふのきせき」
鳥澤 颯斗(8)大阪府
「グオォ~! グオォ~!」
朝7時すぎ、どこからともなく音が聞こえてきた。ぼくとお母さんは、いつものお父さんのおふざけだと思った。
「颯斗! きゅうきゅう車よんで!」とお母さんが言った。ぼくは、お母さんまでもがふざけていると思った。だけど......。
お父さんはいつもの様子とはちがっていた。
「大じょうぶ?」
「......。」
お父さんは返事をしません。お父さんが目をあけながらいびきのような音を立てていた。お母さんは、あわててきゅうきゅう車をよんだ後、お父さんに人工こきゅうをしていた。ぼくは、家のかぎを開け、外できゅうきゅう車が来るのをまった。
きゅうきゅうたいの人が来ると、ぼくが3がいまであん内した。人工こきゅうもお母さんからきゅうきゅうたいにかわった。
しばらくして、お父さんがふくろにつつまれてかいだんをおりてきた。お父さんはおもたいので4人がかりだった。そして、きゅうきゅう車でびょういんにはこばれた。
「お父さんの命はあぶないと、おいしゃさんに言われた。」と帰ってきたお母さんがぼくたちに話した。
次の日。かくごをきめてびょういんに行った。お父さんはICUというところにいた。本当なら子どもは入れないけれど、さい期かも知れないととくべつに入ることができた。
お父さんは、たくさんのきかいにつつまれていた。手をさわってみたが、こおっているみたいにかたかった。知らない間にポタポタとなみだがながれていた。何と言ったらいいか分からないぐらいかなしかった。こんなじょう態でも命があるだけでよかった!!! 歯をくいしばって、ぼくはねているお父さんとしゃしんをとった。このしゃしんは、宝物だぁ!
もうダメだと言われる日。お母さんは、びょういんにむかった。
その時ぼくは、プールのバスをまっていた。そしたらお母さんから、
「お父さんのいしきがもどった。」と電話があった。しゃしんをとった時から、もうダメだと思っていたが、いのる気もちもあった。だから、きせきが起きて本当にうれしかった。おいしゃさんもきせきが起きたと言っていた。きせきって本当にあるのだなぁと思った。
お父さんは、のうにさんそが行かなかった時間が長かったので、まだ、リハビリのために入いんしている。お父さんは、もとのお父さんにもどらないけれど、生きていてくれるだけで本当にうれしい。少しでも前みたいにいっしょにあそんだりできる日を楽しみにまっている。
このようなけいけんがあって、もっと命の大切さが分かったような気がする。