生命を見つめるフォト&エッセー

受賞作品

第1回エッセー部門

第1回入賞作品 − 小学生の部 
文部科学大臣賞

「おじいさんのお手つだい」

横山 紗来(8)兵庫県

 7月29日、おじいさんが、やっと、たいいん出きました。

 きゅうきゅう車ではこばれて、しんふぜんだとわかり、1か月半い上、入いんしていました。けんさをすると、ごえんがあることも、わかりました。おじいさんには、ほかにもびょう気があります。つえをつかわないと歩けないし、小さい字もみえません。3年前から、耳も聞こえなくなりました。でも、まったく聞こえないのではなくて、ゆっくりと、大きな声でお話すると、おばあさんと、わたくしの声なら、聞きとれることがあるそうです。あと、2日に1回、人こうとうせきもしています。だから、入いん中は、しんふぜんのちりょうしながら、とうせきをうけて、足の、リハビリも、がんばっていました。でも、おじいさんは、おかずをドロドロにした、ミキサー食がすきになれなくて、あまり、たべれませんでした。

 わたくしは、しゅくだいがおわると、よく、おかあさんといっしょに、びょういんに行きました。そして、夕しょくになると、ちゃ色のミキサーは肉じゃがだとか、ミキサーみそしるのぐは、かぼちゃだと、声をかけました。おじいさんは、わかるとニッコリして、すこしはたべてくれました。おいしゃさまは、おじいさんは、はがじょうぶなので、たいいんしたら、おかずをゆっくり、よくかんでたべれば、ミキサーしなくてもよいと、教えて下さいました。しっかりたべて、力をつけてほしかったので、わたくしは、早くたいいん出きたらいいのにと、思っていました。

 おじいさんは、家につくと、とてもうれしそうでした。とうせきをしているから、たくさんはだめですが、しょくじは、よくかんでおいしいといって、たべられるようになりました。だけど、すぐに力はつかないので、歩く時に、からだが、すごく前にかがんでしまいます。そんな時は、声をかけても聞こえません。わたくしは、おじいさんの目の前に行って、同じしせいをしてから、手を、せ中にあてて、せすじをのばしてみました。するとおじいさんは、気がついて、せ中をのばそうとしてくれるようになりました。

 あと、入いん中はマスクをしていたから、おじいさんの口が、ずっとひらいたままになっていました。ポカン口は、びょう気になりやすいので、声をかけますが、いすにすわりおひるねをしている時には、おこしてしまいます。わたくしは、おこさなくてもよいように、そっとちかづいて、わたくしの人さしゆび1本を、おじいさんの下口びるにあてて、上に上げてみました。すると、口がとじました。なん回かつづけると、ポカン口をしなくなりました。

 おじいさんは、まい日がんばっています。だから、わたくしも、つぎにどんなお手つだいが出きるのか、考えるのがたのしみです。

(敬称略・年齢、学年などは応募締め切り時点)
(注)入賞作品を無断で使用したり、転用したり、個人、家庭での読書以外の目的で複写することは法律で禁じられています。

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