生命を見つめるフォト&エッセー

受賞作品

第6回エッセー部門

第6回入賞作品 − 小学生の部 
文部科学大臣賞

「命をつなぐ」

岡田 藍生(9)岐阜県

 私のお母さんは、ちょっと健康にうるさいです。体のためにと、ぬかづけは毎日。おみそ汁はダシから取ってくれるからおいしいです。てん加物を取り過ぎないように、おやつにも気を付けます。運動するようにも言うし、夜10時を過ぎると、「大きくなれないよー」とおどしてきます。私はなぜそんなに健康に気を付けるのかお母さんに聞きました。すると、お母さんのお父さんは、20代の時に腎不全という病気になり、40代で死んでしまって、健康の大切さを知っているからだよと教えてくれました。病気になったおじいちゃんは、大工さんの仕事ができなくなり、家族は大変な思いをしたそうです。

 そんな頃、私は生き物たちの子孫の残し方についての番組をテレビで見ました。私は時どき、お姉ちゃんや友達と、どんな人と結婚したいかについて話をします。すると、大体みんな優しい人とか、イケメンとか、お金持ちと答えます。でも、野生の生き物たちは私たちと全然違いました。何とメスは体力があって健康そうなオスを選ぶことが多いのです。赤ちゃんを守ったり、元気な子孫を残したいと思うからだそうです。もし、人間が野生動物だったら、スポーツ選手がもてるんだろうなーって思います。

 オスは、メスに選ばれるために命がけで争ったり、胸を張って体を大きく見せたりします。中には、見た目をメスにするズルイ技を使ったり、交尾が終わるとそのままメスの体の一部になってしまう悲しいオスもいました。だんだん私は(どうしてそこまでして、子孫を残さなきゃいけないの?)と、とても不思議になりました。すると、お母さんが

「今、あおちゃんが生きていられるのは、京都のおばあちゃんが戦争を生き抜いて、パパを産んでくれたからだよね。ママがいるのも、笠松のおじいちゃんとおばあちゃんが、苦労して育ててくれたからだよ。もし藍ちゃんがおじいちゃんやおばあちゃんに感謝の気持ちがあるなら、きっと大人になったら、赤ちゃんを産みたいって思うはずよ。」と、言いました。

 私は、お母さんと色々な話をして、気が付きました。〝私の命は、私だけのものじゃなくて、次の世代につなぐ大切な役目のある命なんだ〟と。

 結婚して子どもが生まれたら、自由やお金がへっちゃって大変そうだけど家族が仲良しで大好きで幸せだったら、動物の様にがんばって子孫を残そうと思うかもしれません。

 今、日本は少子化が問題になっているそうです。子どもの数が少ないという事は、未来の大人の数が少なくなるから大変です。将来、仮に結婚して、子どもがほしいと思った時、元気な子を産み、育てられるように、これからもちょっとうるさいお母さんの言う事を守ろうと思います。

(敬称略・年齢、学年などは応募締め切り時点)
(注)入賞作品を無断で使用したり、転用したり、個人、家庭での読書以外の目的で複写することは法律で禁じられています。

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