ぼくたち子どもが大人になった時
ぼくたち子どもが大人になった時、生き物のことを考えて、よい環境を作っていたい。人々がくらしやすい所があって、そこに生き物にとってもくらしやすい場所がある環境を守っていたいです。
友だちの中には「気持ち悪い」と虫嫌いな子もいます。中でも嫌われているよう虫ですが、きれいなチョウやガになります。よう虫にはいっぱいしゅるいがあります。
一番見つけやすいのはアゲハチョウ科のナミアゲハです。かんきつ系の木の葉の上にいて、鳥のフンのようです。チョウになる前のよう虫は、とてもきれいな緑色になります。びっくりすると、黄色い角を出していかくします。この角はみかんのかおりがします。そのかおりをかぐと、ぼくは夏だなあとワクワクします。
よう虫をそだてて気づいたことがあります。よう虫にもせいかくがあるということです。人間と同じような所があることが分かるのです。
とくに心配した子がいました。「足弱くん」です。よう虫は一番後ろの足が一番強くて大切なのですが、その足が弱かったので、ぼくはこの子がちゃんとチョウになれるか心配して顔が青ざめました。
さなぎになる時です。かべにはりつこうとして落ちてしまう。痛くないようにキッチンペーパーをしいたのです。すると、キッチンペーパーにもぐり、さなぎになりはじめたではありませんか。10日後の朝、ぶじチョウになることが出来ました。ぼくにとって幸せでとくべつなことでした。
虫嫌いな人にインタビューすると、嫌いな理由の多くは見た目の問題でした。そんな人たちにおすすめなのが、ヒメジャノメのよう虫です。きれいな黄緑の体に黒ネコのお面をつけたようなかわいいすがたです。さらにおすすめは、日本の国チョウとして知られるオオムラサキのよう虫です。黄緑のせなかにさくらの花びらのようなものがついています。国チョウのよう虫として、ぴったりだと思いませんか。頭に二本の角が生え、まるでよう虫界のトナカイです。
理想のまちを考えてみました。チョウがそだついろいろな木を植えた通りには、きれいなチョウがたくさんとび回るでしょう。カブトムシにも会えるかもしれません。チョウやよう虫がいることが当たり前になって、あの生き物にはこの木がひつようだなと考えることが当たり前になってほしいです。
生き物がすみやすいとり組みが実行できて、まずは30年、次に50年、それから100年と続けたいです。ぼくたち子どもが大人になった時、ぼくたちが生き物のことを考えて、よい街と環境を作っていたい。
(指導・浦野伊吹教諭)
繊細な目とユーモラスな表現
チョウの幼虫がそれぞれ、こんなに個性的だとは知りませんでした。作者の繊細な目とユーモラスな表現によって、虫嫌いの人も小さな命をいとおしく思うはず。街路樹のアイデアもすてきです。幼虫という小さな存在から出発し、独自の発想で環境の未来について考えた、説得力あるすばらしい作品です。
(梯久美子)